こんにちは。
数日前からギックリ腰で寝てます。数えたら、2021年に入って、1月後半から2月いっぱいまでの約1か月で7台のキャンカーへ取付させてもらってました。疲れたのかな?高校の頃から腰痛持ちなので、まぁ慣れてまして、年に2-3回なります。あと1-2日で復活します(笑)
今回は、生セル搭載を検討するオーナーさんのお悩みを解決するシリーズ第3弾。スマートBMSについてです。
おさらい BMSって?
バッテリーマネージメントシステムの略。BMSです。
役割はバッテリーの各保護です。過充電・過電流・過放電・短絡・温度(高温・低温)から保護しています。
キャンカーだけではなく、基本、リチウムイオンバッテリーを使用したシステムにはバッテリーと共にこのBMSが搭載されています。iPhoneも。スマホも。ドローンバッテリーも。ガムくらいの大きさのマイクロドローンバッテリーにも「保護基板」と呼ばれてますがBMSが入っています。
前も書きましたが現代人は知らず知らずのうちにBMSのお世話になっています。いくら中華製嫌いな人がいたとしても知らぬ間に中華製のBMS使ってる人も多い事でしょう。
バッテリーに電気が残っている限り、BMSは24時間365日バッテリー状況を監視しています。
ウチのようにDIYでlifeo4を搭載する場合、使うのはBMSを搭載していない生セルが多いです。その場合は当方のショップでも強く推奨している通り、BMSは必須です。
BMSを搭載せずに、電圧センサーや電流センサーを使って上記の各保護(過充電・過電流・過放電・短絡・温度(高温・低温))を行う方もいますが、それはBMSは使っていないけどBMSと同じ各保護を自前で行っているだけです。
その各保護を統合して行っているのがBMSであり、基本的には「BMSが付いていないリチウムイオンバッテリーは無い」と言っても過言ではありません。
なので、リチウムイオンバッテリーとBMSはセットで考えるべきです。
スマートBMSとは?
BMSは上記の過充電・過電流・過放電・短絡・温度からバッテリーを「人知れず」守る存在だったわけですが、この「人知れず」監視していたデータをBluetoothや有線で飛ばして、PCやスマホで監視・設定できるようにしたのがスマートBMSです。
iPhoneのバッテリー残量は「%」表示が出来ますし、バッテリーステータスも見れます。
ドローンのバッテリー残量も「%」表記で確認出来ますし、それどころかDJIのドローンは残量が少なくなると自動で戻ってきます。
これらも残量をしっかり把握できるスマートBMSの恩恵です。
僕がlifepo4を搭載した丁度1年くらい前はスマートBMSは何種類も出ていませんでしたが、最近は種類が増えてきたのでわかる範囲でご紹介したいと思います。
スマートBMS SP04S005
感想(主観)
僕が使っているスマートBMS。自分で言うのもなんですが、言いますが、このBMSを日本で最初にYoutubeで紹介したのは僕です(ネット上ではそれまでもあったけどね(笑))
当方のショップでも当方作成のオリジナル日本語マニュアル付きで販売してます。お陰様で結構ご購入頂いており、いま(3月1日)春節明けで在庫ゼロで到着待ちです。お待ちいただいている方、すみません。
キャンカーへのリチウム取付のお仕事や、ポタ電製作のご依頼を通して、20枚以上使ってますが故障等のトラブルは今の所ありません。販売した方で「電圧が正しく読み取れてない」という事は何回かありました。電圧測定用の5本ケーブルに丸端子を付ける方が多いのですが、端子やハンダが抵抗になったり接触不良してる事も多いので、ウチでは電圧測定用の5本ケーブルは裸のまま使うのを推奨しています。
逸れましたが。。1年前はスマートBMSを探そうと「BMS bluetooth」で探しても、殆どこのシリーズしかなかったと思います。
「Xiaoxiang BMS」というiPhone、Androidのアプリを使い、バッテリーの各情報の把握、設定がとても細かい範囲で出来ます。
これは形状が長い板状ですが、このように短く小さいタイプもいくつかあります。
セル数も4S用の他、8Sやそれ以上版もあります。いずれも同じアプリ(Xiaoxiang BMS)で監視と設定が可能です。
ちなみにこの長いタイプは「B+」という所は使わないので、自己責任でカットしてもらえば少し短くなります。
僕自身、これが無かったらキャンカーのリチウム化は見送っていたと思います。先人様のようにBMS無しでセンサーとリレーでいわば「アナログ」制御するのは僕としては避けたかったし「車にリチウムを積む以上、状況把握と設定が可能なBMSは絶対条件」と考えていたからです。なので、スマホで見れるコイツを見つけた時にリチウム化する事を決めました。
メリット
状況把握と設定値の細かさ
次に挙げる3種よりもとても細かく設定できます。こいつの利点はこれに尽きますね。設定項目はここ参照してください。
特に、満充電と過放電でカットオフする電圧と、再開する電圧をセル単位と合計電圧単位で個別で自由に設定できる点は優れていると思います。それぞれに合った使い方。。というか、柔軟性を持ったセッティングが出来ます。
あと見やすいです。iPhone版は。慣れてるからって事かもしれませんけど。
端子台が要らない事が多い
デカいのですが、キャンカーから伸びてくる数多くのケーブルを接続するためのネジ穴が3つあります。その穴にボルト通してケーブルを固定します。穴が3つあるので端子台要らず。
デメリット:設置性悪し。。
ただしデカいんですよ。30センチ以上あるし。基板も剥き出しなので気を遣います。ヒートシンク付き・アルマイト塗装のアルミケース作ったら売れそうw 取付用のビス穴は不均等な配置で4個あります。ネジ径は3mm。いつも板にスペーサー噛ましてタッピングで固定しています。カバーはプラ段やアクリル板で覆ってます。まぁこのBMSに繋がるケーブルは電圧測定&BMS給電用の細いリード線のようなプラス線1本を除き、あとは全てマイナス線なのでショートの危険性は少ないですけどね。
DALY の 赤いカッコいい スマートBMS 群
アリエクのDALY BMS Store で売っている赤いシリーズです。
製造者もDALY。この赤い筐体がやたらカッコいいです。たぶん、今、アリエク上で一番ハバを利かせてるBMSです(笑)
ちなみに同じっぽいモノ(てかおそらく同じ)で紫(Mgod)や黒(M HEYO)といったバージョンもあります。
一度だけ、ご自分で機材を用意されたという方のlifepo4取付依頼を受けて作業させてもらった際に出くわしました。
これはBluetooth/UARTで接続して監視・設定できるスマートBMSタイプですが、これが出る以前から、スマートBMSではないタイプ(やはり赤い筐体)は有ったので存在は知ってました。僕が取付させてもらったモノはファンレスタイプでしたが、ファン有りの物もありますね。
以前アリエクの商品レビューで「モニタリング用のアプリを使う際にWeChat(中国のLINE的なアプリ)の登録が必要」という内容のレビューを読んだ事があったため、「面倒くせぇな。。」と思い敬遠していたのですが、実際はそんな登録無しで使えてました。
メリット
カッコいいw
やたらカッコいいです(笑)放熱に関してもヒートシンクが付いてますし、上に書いた通りファン付きもある。なんとなく、PCパーツのグラボを思わせるデザイン。人に見せたら「おーー」ってなる気がします。
そして小さい
例えば4S150Aファンレスで95×212mm。僕のが120×315なのでだいぶ小さいです。小さいのは良い事です。
ラインナップが豊富
lifepo4とそれ以外のリチウムイオン、セル数3S~24Sまで、許容電流30A~500Aまでで様々なラインナップが用意されており、自分のシステムに合った物が選べます。まぁキャンカーではオーソドックスな4Sから、高効率狙いで16S(48V系)くらいでしょうかね。
良いか悪いか?微妙な点
ケーブル付きである
バッテリーとBMS(B-)、負荷とBMS(C-)を接続するケーブルが最初からBMSにハンダで付いていました。これは良くもあり、悪くもあると思う。伸ばすには極太のハンダ部分を取って新たに付ける or 継ぎ足さないといけない。それなら太いケーブルに圧着端子付けてボルトで止める方が確実。
しかも負荷側から1本しかケーブルが出ていないので、キャンカーの数多いマイナスケーブルを接続するためには端子台かスタッドボルト的なものが別に必要になる。
デメリット
設定項目が少ない。
すみません、どの項目が少ないか?忘れてしまった(笑)
アプリはこれを使います。画面はこんな感じ。
が、設定項目的には最初の僕が使っている方が細かいです。
所持はしていないのでYoutube探しました。こちらですね。
これを見ると、充電・放電停止する時の数値を入力したとして、そこで充放電が停止して、どの時点で復帰するのか?「復帰電圧」の設定項目が無かったのかも。なので、どうしてるのかなぁ?と思ったんですよね。普通に使う分には問題ないのかもしれないけど、普段「設定できる」事が普通なので、「あっちでは普通の事が出来ない」と不便に感じるの、わかっていただけるでしょうか?
123BMS
これも1度だけ取り付けさせてもらったことがあります。
これです。 https://123electric.eu/
たぶん、これを付けてるキャンカーって日本に1台じゃないか?と。
こいつは上に挙げた2つのように充放電の遮断・接続をBMS内部の半導体で行うのではなく、基板上に設置された充電用・放電用の2つのリレーで太いケーブルに噛ました大きなリレーを駆動させ、メカ的(機械的)に接続・遮断を行うタイプです。大きなリレーは「スマートリレー」として別で用意されており、充電用と放電用の2個のリレーが1つになったもので、接続・遮断時のサージにも対応していると謳っています。リレーの動作音がガチャ!って言います。
メリット
充放電が別で把握できる
充放電電流の計測にはホール式のセンサーを使用します。充電ラインと放電ラインを分けて、それぞれにセンサーを付けることで充電量と放電量を別々に把握できます。アプリも充電・放電別に表示されます。
こんなかんじ
対して上の2つは「差し引き表示」です。30Aで充電してて50A放電してたら「20Aの放電」としてしか表示されませんが、123BMSは個々に把握できます。
良いことは良いのですが、使ってると「差し引き表示」でも充分説…
仕組みがシンプルなため、大電力放電に対応
スマートリレー自体の許容電流は120Aと、むしろ中華BMSの方が容量でかいのですが、123BMSの仕組みとして、BMS基板の計測値とアプリの設定値を元にしてリレーの接続・遮断の制御を行っているだけです。ホールセンサーの測定範囲は500Aです。
なので、そのシンプルな仕組みのお陰で放電ラインを何本も作れます。たとえばエアコン用の120Aラインと電子レンジ用の120Aラインを分けたりできるわけです。それぞれにスマートリレーを取り付ければ500Aまでの範囲で大電力機器を使えるぜ!と謳っています。インバーターも2個必要になっちゃうので、大変ですけどね。
中華じゃない
123 electricはオランダの会社です。オランダはクリーンエネルギー機材メーカーの先進国なのかしら?ヨーロッパキャンカーによく積まれる、青い機材がアイコンとなっているVictron Energyもオランダですね。
中華製イヤだって人も多いみたいですからね。ポタ電で人気のEFDELTAもSUAOKIも中華なんだけどね。Apple風に寄せた小綺麗なページで紹介されれば人気になるわけですよ。なんだかね。Jackeryはアメリカ操業。生産は中国の深センです。
1Aのパッシブバランサー装備
マニュアルに書いているのですが、セル電圧が規定(VMax)より飛び出ると、そのセルから1A消費して電力を熱に変換して均衡を保ちます。他に分け与えるのではなく熱に変えるので「パッシブタイプ」のバランサーです。
満充電してから、充電再開する値を%で設定できる
中華は%ではなく電圧での指定です。「〇Vになったら充電停止。〇V以下になったら充電再開」という感じ。これだと、例えば電子レンジのような大電力機器を使うと一時的に電圧が落ちて、充電再開することがあります。まぁ満充電電圧になればまた止まるので大した問題ではないのですが。
対して123BMSは放電量を積算して、その積算結果を元にして「SOC〇〇%以下になったら充電再開」という設定が出来ます。わかりやすい。
デメリット
満充電の判定が特殊…というか頑固
一番手間取ったのはコレでした。このBMSは「Vバランス」という電圧設定値をアプリ上ではなく基板のDIPスイッチで設定します。0.1V刻み。lifepo4の場合は3.4Vです。
で、満充電の判定条件は「「Vバランス」の電圧を4セル全部が超え、尚且つ充電電流が容量の5%(400Aなら20A)を下回った時」となっています。
VバランスはDIPでしか変えられません。アプリで気軽に変えれる数値ではない。lifepo4のデフォルトは3.4V。4Sだと13.6V。これを超えても普通の充電器は電流を絞らない。絞るのは大体14~14.2Vくらい。走行充電の場合、走行充電器がそこまで充電して電流を絞らない限り「満充電」を認識しない=充電用リレーを遮断しないんです。
一方、走行充電しないでソーラー充電している時は、日当たりによって簡単にこの条件を満たします。
かといってVバランスを1つ落として3.3Vにしようものなら、満充電していないのに簡単に満充電の判定になります。
また、「クリティカルモード」というモードがあり、そのモードだとVバランスを超えてVmaxという別の設定値に達した時点で満充電になるのですが、上に書いた「%」での充電再開指定が無効となり、Vバランスを下回るとすぐに充電再開する。その結果、充電のリレーが短時間にガチャガチャ動く羽目になります。
なんとも、わかりにくいというか。
そこは充電電流が絞られるのを検出するのではなくて、電圧だけでよくないか?と思うのですよ。13.6Vとか13.8Vで「満充電とみなす」という使い方でもいいじゃないか。と。
「指定の電圧で満充電とみなし、そこから放電を積算して残何%になったら充電再開する」というシンプルな条件にしてもらった方が使いやすいんですが、出来ない。頑固なんです。
ちょっとお高い
ヨーロッパ製なのでちょっとお高いです。
1年前は、大容量な電力も使えるし、シンプルでこれはこれで良いBMSだなぁと思いましたが、今は上に挙げた通り後発の中華製DALYのBMSが大容量に対応してしまったので、1年前ほどのアドバンテージは無くなってしまったかもしれません。
RENOGY の100AhについているBMS
先日、この記事でもご紹介したので軽めに触れます。
メリット
安心感
中身は4Sの組みバッテリーですが、ちゃんとRENOGYというメーカーが出してるという事で安心感があります。
並列での使用も考慮した装備(LANケーブルによるリンク)もありますし、安心して使えるかと。ただし、400Ahにした場合、その全貌は4S4Pの16セル構成と大容量生セル4Sよりも複雑な構成なります。
アプリDC HOMEで一括管理できる
複数のRENOGYデバイスをDC HOMEというアプリで一括管理できます。
対応するのはRENOGYのバッテリー・DCDC走行充電器・チャージコントローラー・インバーター機種です。少なくともアプリ DC HOMEのメニューではそうなっています。
BT2というBluetoothユニットで通信します。通信ハブを使えば複数のRENOGY機器を1つのBT2によって一括管理出来ます。機種によって表示が変わりますし、その表示のどれもがカッコイイです。あぁ。。買ってよかった。と思えるデザイン性かと(笑)
デメリット
BMSの設定は出来ない。モニタリングのみ
表示はカッコいいのですが、バッテリーに関してはBMSの測定値をモニタリングするのみで、満充電電圧の設定などは出来ません。MPPTチャージャーなどの設定はアプリで出来ます。バッテリーのBMS設定が出来ないんです。
14.2V程度で満充電とするようです。完全にRENOGY任せというか。RENOGYの考えるlifepo4の使用法に従う事になります。まぁヘタにいじるよりもその方が安心と考える方もいるでしょうが、「普通に設定できる」環境にいると「設定出来ない」事は不便に感じてしまう。。
まとめ
いかがでしたでしょうか。1年前はあまり選択肢無かったですが、だんだんと選択肢が出て来ています。
細かく設定出来て、カッコよくて、小さめのモンがあれば一番いいです(笑)
どれを推すか?と聞かれれば、僕はバッテリーの状況も設定も全部把握したい方なので、事実として、「設定が一番細かく出来る」事から、「まだ」自分が使っているSP04S005 及び、Xiaoxiang BMSアプリを使えるシリーズを推します。現時点では。 慣れてるって事もあるので贔屓目が多分に入ってるかもだし、基板剥き出しなのを何とかしろ。。とは思いますが。
価値観は人それぞれなので、設定は最小限出来りゃいいって人もいるかもしれないし。設定の細かさを面倒くさく感じる人もいるかもしれない。
自分の経験から書きましたので、生セルを組む際はBMS選びの参考になればと思うのでした。
こんにちは
ためになる記事をありがとうございます。
ZAKIOさんのブログに触発され、当方もリチウムイオン化することにしました。(タイミング良く? ディープサイクルバッテリーがへたりましたので・・・)
今回の記事も非常に参考になりました。
コメントありがとうございます!
参考になっていれば幸いです。
リチウム換装の際は、是非弊店ご利用ください!(笑)
http://www.bluesky-camper.shop/
https://www.drone-aerialshoot.com/batttery-install/
123は、リレーでVictronのインバーターチャージャーの動作モードを変更したり、コンバイナーの切断とか、かなりVictronとの融和性が高いのが魅力てすね。
日本ではボート、ヨットで稀に見るぐらいですが。小型ヨットはキャンカーに比べて高さ制限が厳しいので、中々生セルが厳しいです。