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キャンピングカー リチウムイオンバッテリー関連 lifepo4

キャンピングカーへのリチウムイオン搭載。 組立済みバッテリーと生セルどっちがいい?

投稿日:2021年2月17日 更新日:

組立済みバッテリーと生セル。どっちがいいのか?それぞれの利点・欠点まとめ。

最近、リン酸鉄リチウムイオンを採用した組み立て済みバッテリーをAmazonなどでも見かけるようになりました。RENOGYも4並列まで可能な100Ahのを出しています。

僕が1年前に探した時はRENOGYは50Ahのはあったけど100Ahのは無かったと思いますので、普及してきてるんだなぁと思っています。

それに伴い、このページやショップの問い合わせからそういった組み立て済みバッテリーと生セルの違いを教えてほしいというお問い合わせを何件か受けましたので、僕の考えを記したいと思います。

組みバッテリーの例としては自分でも組ませてもらったことのあるRENOGY 100Ahを例に挙げることが多いです。ご了承を。

あくまでも主観です!間違いありましたら訂正大歓迎です。

組立済み or 生セル 設置性

組立済みバッテリーは普通の自動車バッテリーのようなサイズでBMSも内蔵した状態で組まれているため、生セルを配置してバスバーで繋いでBMS配線して…といった作業が不要です。

ポン付けで交換出来ると言えなくはない。そう思う気持ちもわかる。

しかし!実は様々な理由からポン付けだけではよろしくありません。

まず、理由その1。車が充電制御車の場合、一時的に15V以上の発電をする車があります。要確認。

一般に、リン酸鉄リチウムイオンの充電電圧上限はセル3.65~3.7V=4直列で14.6~14.8Vです。知る限り、Winstonの生セルだけが「4V」を謳っています。それ以外は3.65~3.7V=全体14.6~14.8Vが上限と思った方がいいです。実際はマージン持たせて14.2~14.6Vの充電器が多いと思います。参考まで、RENOGYの充電器を「リチウムモード」にした時のデフォルト充電電圧は14.4Vです。

そこに15V以上の電圧かけるのはバッテリーに良くないです。まぁBMSには過電圧保護が付いているので、過電圧な時はBMSが守ってくれれば結果としてはいいのですが、いずれにせよ僕としては「リチウムに換装する際は走行充電器も取り付けるべき」という立場です。

走行充電器の機能として、充電だけではなく、メインとサブの遮断(アイソレート機能)、過電圧、過電流、温度、逆接の各保護もついているからです。

古いキャンピングカーや、鉛のバンテック車両(現行も含む)はエンジンかかってる時だけリレーを介してメインとサブを接続する「カットリレー方式」で、走行充電器は付いていません。直接入電するよりは走行充電器が有った方が良いと思います。

現行のカムロードは充電制御車だそうです。アドリアなどのベースとなる現行のデュカトも充電制御車です。デュカトについては実際にメインバッテリーの電圧計が減速時に15Vとかになるのを確認しました。

こういう車は特に走行充電器付けた方が良いです。その意味では走行充電器の施工が発生するため、どちらも「ポン付け」は出来ません

また、リチウムに替える場合は、大体皆さん大容量化することが多いと思いますが、大容量化=充電も大容量にしないと、容量に対して充電が遅く、結局使いにくい物となります。で、それまでよりも大電流充電をするためには鉛仕様の車だと走行充電用のケーブルが5.5とか8sqとか細いケーブルであることも多く、このケーブルを太くしないと大電流での充電が出来ない事もありますので、その意味でも「ポン付け」では通用しないとも言えます。最近のバンテック車(カムロードベース)は鉛でも22sqくらいのケーブルと大容量リレーが使われていましたリチウム化を見越してるのかな?

あと、設置性の点でもう一つ。先日RENOGYの100Ahを4つと走行充電器を取付させてもらったのですが、その経験からすると、どちらの設置が簡単?と聞かれれば「どっちも同じと答えます。

組みバッテリーを並列する時は生セルのようにお互いを繋ぐ「バスバー」がないので、太いケーブル(この時は60sq使いました)を使った並列接続用のケーブルを何本も作る必要があり、これが結構手間です。

生セルだとその間にBMSの設置が出来ますし、固定方法はLアングルとか壁作ったりとかは両者同じなので、時間的にはあまり変わらないなぁ。。。と感じました。僕の場合ですが。

取付サイズ

生セル400Ahの設置サイズは4つ合計で最低450×285×高さ320-330mm必要です。

組みバッテリーのサイズはピンキリですが、RENOGYに限らず、自動車用バッテリーと親和性の高いサイズが多い。

RENOGYの100Ah場合で289 x 172 x 187.5 mm。400Ahならそれが4つです。

生セルだと搭載部分の高さがネックになる車も多く、全高が低い組みバッテリーを選ばざるを得ない方もいるようです。低い分横に広くはなりますけども。

高さが充分取れれば面積的には生セルのが省スペースです。こんな感じ。現行コルドリーブス。

容積的には生セル42.3リットル/RENOGY 37.2Lで、RENOGYのが小さいです。

安心感

これは「何をもって安心と感じるか?」の点で人によるとも思いますが。。

RENOGYが出しているlifepo4組み立て済みバッテリーとかだとやっぱり安心感があるんだと思います。が、Amazonで売っている中華製に安心感があるかはわかりません。こちらはまだ人柱感が強いのではないかと(笑)

実際、組み立て済みバッテリーの中ではRENOGYの100Ahが良いと思います。理由としては、並列にした時に各バッテリーのセル電圧を相互に監視するためちゃんとLANケーブルで結ぶから。なので、以降も組みバッテリーの例としてはRENOGYを挙げます。

他の中華組み立て済みバッテリーで、並列時に相互リンクするタイプを見たことがありません。容量200Ahくらいまでは有るので、それを単独で使うなら良いでしょうが、相互リンクしていない物で並列使用可を謳っているモノはいかがなものか?です。後述しますが、「完全にダメ」って事ではありませんけど。いかがなものか?と思うのです。

モニタリング・設定の細かさはスマートBMSの方が上

組立済みは、生セル&スマートBMSのようにバッテリー状況をモニタリング出来ない物もありますし、モニタリング出来ても充電停止電圧など、BMSの細かい設定が出来ません。

また完全BMS任せの組みバッテリーの場合、設定値が「安全寄り」に設定されている事も多く、バッテリー自体の性能を引き出せていない物もあります。加えてモニタリングも出来ないとなると「何かあった時に何が起きているのかわからない」という状況が起きます。

例にとって悪いですが、こちらのバッテリーなどはレビューに「低電圧保護が早すぎる」と記載があります。このような場合、BMSの設定が出来ないと打つ手がないのです。

RENOGYの100Ahはスマホでかっこいい画面でモニターは出来ます。が、残念ながらバッテリーについてはモニターのみで、BMSの設定までは出来ません。MPPTチャージャーなどの設定は出来ます。また、モニタリングアプリである「DC HOME」でモニターするのですが、その測定値の更新頻度が遅いです。15秒間隔?くらいに思えます。リアルタイムで追えません。ここはスマートBMS使ってる自分からするととても残念。毎秒更新くらいの表示にはなってほしいです。

が、RENOGYの組みバッテリーはそもそも上に挙げた中華バッテリーよりは品質は断然良いと思います。Amazonの方を試していないので「思います」ですが、取り付けてテストしてみた感じです。安心して使えます。後述する、並列する場合の配慮も含めて、良いです。

いずれにせよ、モニタリングの追随性・状況表示・設定の細かさ・自由度の点では生セル…というか、生セルで使うスマートBMSに軍配が上がります。

モニタリングアプリのデザインはRENOGYのがカッコいいんだけど。。(笑)

人の価値観ってそれぞれなので、その表示や設定の細かさを「なんでも把握できて頼もしい」と感じるのか?「面倒」と感じるか?は人それぞれです。

僕は全て把握しないと気が済まないほうなので、頼もしいと感じる派です。刻々と変化する充放電状況を見るのも楽しいです。(最近は慣れたので残量チェックくらいしかしないけどw)そういう方は多分、生セル&スマートBMSの方が合っています。しかも安いですしね。

組立済みは大容量を実現しようとすると並列になる

2021年2月現在、日本で売られている組み立て済みバッテリーは大抵大きくても200Ahまでだと思います。

400Ahなど、大容量を求めるとなると、どうしても並列になります。

RENOGY lifepo4 100Ahの中身は3.2V100Ahセルが4直列です。バラしてませんが「普通そうだろ」と、そう考えます。

Amazonで売られている中華製組みバッテリーの中には、容量100Ahでも中身は3.2V50Ahを2並列4直列(2P4S)な物とかもあるようなので、バラさない以上正確な構造はわかりませんが、ここでは「3.2V100Ahが4直列」と仮定します。これが一番シンプルだから。

こいつを使って400Ahにする場合、4並列するので、RENOGY 100Ahで400Ahにした場合のシステムの全貌は最低でも「3.2V/100Ahを4直列して12.8V/100Ahにしたものを4つ並列」(4S4P)で、16セル構成となります。生セルの場合は3.2V400Ahを4直列(4セル構成)ですので極めて単純で、それに比べると複雑な仕様となるわけです。

同じ12.8V/400Ah=5120Wh、バッテリーを4つ連結しているモノでもその中身は似て非なるものです。

この記事にも書いたのですが、リチウムに限らず、バッテリーを並列にすると「循環電流」が流れます。電気は電圧高いところから低いところに流れるので、Aが14V、Bが13.8Vとすると、A→Bに流れる=Aは放電・Bは充電することになり、均等を保とうとします。AとBが同じになれば循環電流は止まります。

しかし、中に1つでも変なセルがあると電圧が上げきれず、いつまでも循環電流が流れるため、それにつられて全体のバッテリー寿命が短くなる原因となります。だから「並列するバッテリーはロットと電圧を合わせる必要がある」とは、鉛サブ時代からよく言われますね。ヘタった1個だけを替えても、次にヘタったものにつられて結局劣化が早まるんです。なので全部替えます。

全て同ロットで変なセルが無く、いずれ循環電流が「ちゃんと止まる」構成だとしても、並列である以上、循環電流は発生します。上の記事の、400Ah×2バンク並列でBMSをバンク毎に2枚付けた車両で確認済みです。そもそも消費が均等になりません。1000W使っても500/500にはならないです。

バッテリー間を結ぶケーブルの抵抗やなんやでどうしてもズレるし、ズレて各バッテリーの電圧がずれれば電流が流れる。これはRENOGYであっても並列にしてる以上は見えないだけで流れているはず。電流が流れる以上、その間は各バッテリー間で充電や放電がされているという事になるため、多少なりとも劣化が進みます。だから?かわかりませんが、RENOGYは4000サイクルを謳っていますけどね(笑)

ちなみにサイクル回数は充放電の回数とは違うので、400Ahの場合、2000回でも4000回でもあまり問題無いと思います。理由→僕は1年使って19サイクルだから。2000回なら100年持つ計算ですw

逸れましたが、並列の場合は全てのセル電圧を監視してバランスするバランサーが必須と考えます。バランサーにより全てのセル電圧を揃えれば、自ずとバッテリー間の電圧も揃うからです。

RENOGYのバッテリーはバランサー内蔵ですし、バッテリー間をLANケーブルで相互に結び、たとえ4並列16セル構成であってもセル電圧とSOC(残量)を監視できるので、その点で他の中華製組みバッテリーより全然良いと感じました。

実際、RENOGYを設置した後、アイドリングでの充電テストの際、4バンクのうち、3つは90%前後、1つだけ83%だったのですが、満充電に近づくにつれて他の3つはBMSにより充電停止するのに伴い、残量低かった物がグングン追い付き、最終的には全て「上で揃った」状態になりました。

「並列の場合、使用に伴って各バンクの残量がズレたとしても上で揃える」というこの動きは、当方で組んだ生セル400Ah×2並列でも全く同じ挙動です。

なので、並列の場合はロットや電圧を合わせ、バランス悪いセルを使わず、バンク毎にバランサーがあれば並列でも「悪い」とまでは言いません。

ただ、一般的に機械というのはシンプルな方が壊れないわけでして、

  • 3.2V/100 Ah×4直列の組みバッテリーを4並列(4S4P)で16セル・BMS4枚 構成の12.8V/400Ah と 
  • 3.2V/400Ahの生セルを4直列(4S)で4セル・BMS1枚 構成の12.8V/400Ah

でしたら、事実として後者の生セル4直列の方がシンプルであり、並列による循環電流など、余計な心配もしなくて済むうえ、部品点数も減る=安いので良いかなぁ。。と思っています。

まとめ

以上、パッと思いつく範囲で両者の違いをまとめましたがいかがでしたでしょうか。

ソーラーのフレキシブル・フレーム式同様、結局はオーナー次第 となるわけですが(笑)、やはり生セル&スマートBMSは取っ付きにくい感はあるでしょうが、実は構成としては生セル&スマートBMSの方が、組みバッテリーを並列するのに比べて遥かにシンプルであるという「事実」はあるし、取付を実践する方も増えて、だいぶ「人柱感」が減ったというか「一般化」してきていると考えています。

それぞれの長所・短所を熟考したうえで、これからのリチウムを選ぶ際の参考になれば幸いだと思うのでした。

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当方では生セルだけではなく、RENOGYの取付も行っています!(笑)

取付のご依頼もお待ちしております。

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執筆者:


  1. sone より:

    初めてコメントさせていただきます。
    組み立て済みバッテリにも走行充電器を付けるべきというお話非常に興味深かったです。
    そちらのお話の中でWinstonの生セルだけが「4V」を謳っているとありましたが、こちらの生セルを用いた組み立て済みバッテリであれば走行充電器が無くても問題なさそうでしょうか。
    また、逆に走行充電器を用いて16Vに近い電圧で充電をしてやればオルタネータで急速充電ができるというメリットもあるのではとも思いました。
    過去の記事でWinstonの生セルを採用している日本の電源装置メーカーがあると書かれていましたが、どちらのメーカーのものか教えていただくことはできないでしょうか?
    そういった使い方を想定しているのかなど調べてみたいと考えております。

    • ZAKIO より:

      コメントありがとうございます。
      Winstonの生セルについては。。うーん。
      スペック上、上限4vとなってますが定格は3.2で同じなので、単に耐電圧性が高いという事であって、通常使用での満充電はセル3.6v程度。4Sだと14.2-14.4v付近だと思います。
      少なくともウチでは「満充電16vです」とはアナウンスしません。

      あと流れる電流はオームの法則で決まります。電流を上げるには電圧を上げるか抵抗値を下げるしかないと導かれます。

      その意味では高い電圧かけてやれば電流も増えそうですが、そもそもクルマのオルタは通常14v付近、充電制御車で減速時に回生した時にやっと15v以上くらいなので、16vかけることが難しいと思います。

      Winstonを使ってると思われる所は、Winstonの400ahの型番である 「WB-LYP400AHA」 で検索すると出て来るのですぐわかると思います。O社です。
      実際に現物をバラしてみたわけではないので単なる推測です。
      同じ種類の製品で、たまたま型番がかぶってるだけ。。ということもありうるかもですね笑

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名前 : 岡崎 慎一

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