緑画面?途切れる?遅延? DJIドローンの映像伝送トラブルについて
DJIのドローンを飛ばしたことがある人なら必ず1度は経験したことがあるであろうトラブルに「空撮時のモニター映像伝送トラブル」があると思います。
症状としては
- 映像伝送が上手くいかず、緑色のノイズが出る(ノイズは画面全体になったり、一部だったり)
- コマ落ちする。コマ落ち時は映像が数秒停止したり、黒い帯状のノイズが出たりする
といったところかと思います。
こんな感じ。
日光の華厳の滝。Log。キャッシュ動画です。某局で許可済みでの撮影。業務空撮の場合は特に、こいつがここまで頻発すると、モニターしてる画面が乱れるわけなので、本当に厄介です。クライアントさんが見てたりするとなおさら。ゆっくり動かしててもこれなので、速く動かしてる時は更に酷くなる。
機体のSDカードにはちゃんと録画されているので、それを信じて&画面が回復するのを信じて、急な操作でそれまでの画を台無しにする事のないよう、想像で飛ばすしかありません。
なので、この症状をなんとかやっつけたい。タブレットが熱を持っているとか、裏で起動しているアプリがあるとか、色々言われますが、この点について原因を掘り下げつつ私見を述べたいと思います。
この記事では緑画面・コマ落ち・遅延など、これら全てを含めて「映像伝送トラブル」と呼ぶことにします。
原因説1:タブレットの熱暴走
ネット上などで「映像伝送トラブル」が起きると真っ先に疑われるのがこの問題です。Android、iOSどちらも言われる事です。
筆者はAndroid端末でドローン飛ばした事は無いのでiPadだけの話になります。ごめんなさい。
確かに夏場などはこれもありえます。タブレットの放熱が追い付かず、熱くなって暴走するって事です。対策としては、タブレットに放熱フィンやペルチェ素子、空冷ファンを後付けして冷やしてみたり、氷入りの袋を当ててみたり。濡れタオル&扇風機や車のエアコンに当ててみたり。。とにかく冷やします。とてもローテクです(笑)
結局今年導入はしなかったんですが、筆者はこれがいいんじゃね??と思ってます。ちょっと大きいんですが、何とか小さくできれば使えるのではないか?と。来年は試してみるかも。
でもね…この「熱暴走」とやら、筆者自身は夏場でもなった事はありません。もちろんiPadが熱くなったことはあります。本当に熱くなると、iPadの場合は警告が出ます。こんなの。
それでもダメだと強制シャットダウン。。というか、落ちる。高温注意のこの警告は何度かみた事ありますが、ドローン操縦中にiPadが落ちるまでいった事は無いのです。
そして、安定していた時よりも高温環境ではないのに、ある日突然不安定になったりとか。
なので、「映像遅延」と聞くと真っ先に言われる「熱暴走」については「原因の一つとしては確かにあるけれど全てではない」というのが筆者の立場です。
原因説2:電波環境が悪い
これは確実にあります。特に都会ほど。
DJIのドローンは日本国内で使用する際の通信は2.4GHz帯です。ご存知の方も多いと思いますが、2.4GHz帯といえば無線LAN(Wi-fi)、Bluetooth、の他、電子レンジなどにも使われてます。同じ周波数を使う人、機器が増えれば増えるほど=都会になればなるほど、混信の可能性が増して電波状況は悪くなります。
これについての対策は「諦める」しかないと思います。せめてもの対策として、撮影時刻を早朝にする、自分のタブレット、携帯のWi-fiはオフにしたりする などはしたことあります。
この「混信」を防ぐため、業務空撮用として5.7GHz帯が確保・整備されたわけです。機材高っかいですけどね。海外に合わせず、ガラパゴスな周波数帯を使用するからこんな事に。。。
原因説3:タブレットの性能が低い
これもよく言われます。
Android、iOSともに、OSがアップデートするたびに複雑になり処理が重くなり動作が遅くなったりもします。同じiOSという名前でバージョンが違うだけなはずなのに今のiOSはiPhone4や5などの古い機種で動かすには荷が重い。OSやアプリのアップデートにより、購入した当時の環境を保つ事が出来ずに徐々に陳腐化していっているとも言えます。アップデートしたソフトウェアの要求に昔のハードウェアがついて行けていないのです。
逆に、購入当時の環境を保持したいならOS、アプリ、機体・プロポのファームウェア全てを当時のままに出来れば一番いいんです。組み込み系の機器のように。しかし実際にはOSもファームもアプリもどんどんアップデートしていくので、なかなか難しいですね。
筆者はiPad mini2 を使っていましたが、やはり映像伝送トラブルが頻発し、師匠の使っていたiPad mini 4に交換して飛ばしてみたら映像伝送トラブルが殆ど起きなかったため、ソッコーで交換した経験があります。でも、これ、今思うと次に書く理由から、正しい選択だったのかどうか?わかりません。
原因説4:ファームウェア、アプリの相性問題
よくある事の一つとして、「これまで快適に動いていたのにファームウェアをアップデートしたらおかしくなった」「DJI GO4をアップデートしたらおかしくなった」という事例があります。
最初に書いた通り、この記事・意見は筆者の私見と断ったうえで、声を大にして言いたい。
「映像伝送トラブルの一番の原因はコレ!」だと思っています。
僕自身、過去に何度もこの経験があります。機体やプロポのファームとDJI GO4アプリのバージョンが合っていないのです。
アプリ、または送信機・機体のファームウェア どれかをアップデートすると、途端に「映像伝送トラブル」が発生する事がありました。
機体起動時にGO4にはちゃんと「バージョンが一致しません。アップデートしてください」と警告出るんですけどね。
この警告が出ていない時でも、 僕は「映像伝送トラブル」が起きた時は真っ先にそれを疑います。アプリ・ファーム両方をアップデートする事で直ることが何度もありました。
厄介なのは、たぶん大抵の人は「アプリの自動アップデート」をONにしていると思うんです。デフォルトがそうなので。
そしてドローン空撮を生業にしてる人以外は、毎日飛ばすって人は少数派だと思うので「飛ばしていない期間に知らず知らずのうちにアプリだけがアップデートされていて、機体と送信機のファームウェアとバージョンが一致しなくなる」事がとても多く発生しているのではないかと。
で、久々に起動したときに「ファームのバージョンが一致しない」という警告が出たもんだから、とりあえず飛ばしてみると「映像伝送トラブル」頻発。仕方なく機体のファームを最新にアプデすると、今度は更にアプリの更新が必要だったり。。
可能性の話で、全てのケースには当てはまらないとは思いますが、こんな感じで”身に覚えのない”自動アップデートにより「映像伝送トラブル」が発生し、”身に覚えがない”もんだから安易に「熱暴走」や「iPadが古い」などの結論になってしまう事も多いと思います。
原因説5:その他、思い当たるフシ
何度も書きますが、主観ながらファームとアプリの相性が最大の原因と思っておりますので他の原因はこれに比べれば微々たるものとも思っていますが、他にもいくつか思い当たるフシはありますね。
DJI GO4 の裏で複数のアプリが起動している
複数のアプリが起動していると、そのアプリがメモリ等のリソースを多く消費するため、その分処理能力が下がる→トラブル起きやすい という理屈です。iOSに限って言えば、「多少はある」と思います。しかしどちらかというと「予防」的な事ではないかと。主観です。ドローン飛ばす前は余計なアプリは切っておきましょう。
タブレットの容量不足&過去のキャッシュが溜まりすぎ
タブレットの容量が不足していると遅くなる という理屈。筆者は16GBのiPad mini4 をほぼドローン専用で使っていて、残り容量が400MBくらいまでなったことありましたが、その時は安定環境だったので特に目立った不調は有りませんでした。キャッシュ動画や飛行記録(フライトレコード)は単なる使う時に読み込むだけのデータであり、直接の影響は殆ど無いと考えています。(何度も言いますが主観ですw)
ただ、残り容量がゼロになってしまったらヤバそう。。という主張は理解できますし、残り容量には気を付けなければいけないとは思いますね。
DJI 映像伝送トラブルの原因について まとめ
以上、「映像伝送トラブル」のさまざまな原因が考えられる中、特に”自動アップデートによるファームとアプリの相性悪化”が原因となるトラブルの可能性について書いてみました。
”身に覚えのないトラブル”を防ぎ、安定した環境を維持するための対策としては「アプリの自動アップデートをオフにする」事が挙げられます。
それだとアップデートの恩恵を受けられないじゃないか!という場合は「アップデートする時はアプリ・ファームウェア全てを最新にする!」という事も大事だと思います。
言いたいのは「熱暴走」や「タブレットが古い」は症状が見えてるので原因として安易に決めてしまいがち。当たっている事もあるかもしれないけど、ハズレてる事もある。という事です。
おそらく、上述したアプリ・ファームのアップデート関連については”身に覚えがない”事から原因として見逃す人もいると思いますので、ぜひ「原因の一つ」としての知名度が上がればなぁ。。と思ったのでした。