間違った噂を正したい
Yahoo知恵袋ってありますよね。見たことありますか?特に見たくなくても、調べたいことがあってググった時に出てきたりします。
あれ、確かに素晴らしい回答が書いてる時もあるんですが、質問者によって間違えた回答がベストアンサーになってたりするとかえって混乱してしまい、そういう時は「知恵袋が間違ってる」と気付くまでに時間かかったりして、すごく迷惑な一面もあると思うんですよ。
残念ながら、キャンピングカー・リチウムイオン・サブバッテリー・ソーラー関連にもそういう「本当は違うのにまことしやかに語られている情報」があると思うので、気になったものを取り上げつつ、正したいと思います。
アイソレーター=走行充電器ではない
まずこれ。日本だけだと思うんですが、アイソレーター=走行充電器のように書かれているところが多すぎて混乱を来す。
そもそもアイソレーターの「アイソレート(isolate)」=隔離とか分離って意味です。
「メインとサブを分離するもの」です。分離するって事はもちろん接続もです。
これは僕が以前デリカスペースギアに鉛のサブバッテリーを組んだ時の配線図ですが、
ここで使っている汎用の車用大容量リレーはクルマのキーに連動してメインとサブを接続・分離します。言うなればこのリレーが「アイソレーター」です。
名前出して申し訳ないですが、よく使われるようなニューエラーの走行充電器などは、もちろん「アイソレーター」としての機能も持っていますが、その他に電圧監視したり、過電流保護があったり、温度保護があったり、昇圧したり、サブからメインへの逆流防止があったり。様々な機能があります。
これは「アイソレーター」ではなく「DC-DCチャージャー」です。
大した問題じゃないって思うかもですが、海外では「接続・分離・逆流防止機能だけの、真のアイソレーター」も販売されてます。
これが存在する以上、DC-DCチャージャーを「アイソレーター」と呼称するのは大きな誤解を招きます。
リチウムイオンバッテリーは走行充電できない?
次にこれ。いやいやwと笑ってしまうレベル。出来ますがな。
酷い話です。誰が言ったか知らないが「なんでそう思った?」て突っ込みたいです。
ただ、そう言われ始めた原因として「リチウムイオンのバッテリー電圧」と「充電制御車」ってのはあると思います。
リチウムイオンの電圧によって「出来ない」と誤解されているケース
- lifepo4は定格3.2V×4=12.8V (最大約3.65V×4=14.6V)
- それ以外のリチウムイオンは定格3.7V×4=14.8V(最大約4.2×4=16.8V)
です。電気というのは電圧高い方から低い方へ流れ、電圧差が大きいほど沢山の電流が流れます(抵抗値が一定なら)。
鉛バッテリーは定格12V~最大14.2V~14.4V(オルタの電圧)なので、それより高い充電電圧が必要になります。特にlifepo4以外の定格3.7Vのリチウムイオンだとね。昇圧型充電器が存在するのはそのためです。逆にそれ使えば出来ます。
そして、もともと普通のオルターネーターは14V~14.4V程度出しますのでlifepo4なら、なんなら昇圧しなくても充分実用的に充電できます。lifepo4の最大充電電圧は3.65Vですが、実際は3.4V程度でほぼ満タンなので、14.2Vなためです。
ただ、最近の車は下に書く「充電制御」という問題もあります。
充電制御車の問題。こっちのが深刻。
近年は燃費向上のためにバッテリー電圧・電流を監視してSOC(State Of Charge)を出し、残量が充分な時(70-80%)はオルタネーターを空転させて仕事(発電)をさせない「充電制御車」が一般的です。ヨーロッパ車だと燃費基準のEURO5,EURO6に対応したエンジンの車両はその可能性が高いようです。ウチのDUCATOはEURO4なのでありませーん(笑)
呼ばれ方は「スマートオルタネーター」とか「インテリジェントオルタネーター」とか様々。ここでは「充電制御車」と書きます。
確かに燃費向上には高い効果があるんでしょうが、サブバッテリーの充電となるとこいつが厄介です。だって必要ないときはオルタネーターが発電しないんですからね。オルタが発電していない時のバッテリー電圧元気良くても13Vとかそのくらいです。負荷かかってれば12V台。それだと昇圧充電器で「昇圧」しない限りは充電されません。逆にそれ使えば出来ます。
また、燃費の高い車には「回生ブレーキ」がある車両もあります。減速時、運動エネルギーをこれまでのようにブレーキパッドで熱に変えて捨てるのではなく、発電機(オルタネーター)を回して電気に変えることでエネルギーを回収し減速させる「ブレーキ」です。イメージ的には「エンジンブレーキ」的なもんですね。
で、この「回生ブレーキ」が発動している時は、オルタネーターはここぞとばかりに発電し、その時の電圧は時に15V~高いと17V近くまで達する車もあるそうです(バッテリーに行く前に降圧してる可能性もあるが)。
なので、最近の車用バッテリーには「充電制御車対応」と書かれています。通常は残容量70-80%程度で充分な給電をする性能を持ち、回生ブレーキで発生する高電圧を受け止めて(?)なおかつその時の充電の飲み込みがいいバッテリーですね。
しかし、lifepo4バッテリーにこんな高電圧かけたら壊れます。まぁ実際はBMSが保護しますけど。走行中の話なので、回生ブレーキ=高電圧発電は頻繁に起きるため、もし「回生ブレーキ」も搭載した車両だと、これも回避(降圧)しないといけない。
これを実現する充電器は僕の知る限り(たいした範囲じゃないが(笑))、1つしかありません。
キャンピングカー業界で有名なのはCTEKのこれですが、これじゃないです。これには回生ブレーキに関しての記述はないんですよねー。。ソーラーのMPPTチャージャーも内蔵してて、高電圧であろうソーラーの出力をそのまま入れられるようなので、もしかしたら高電圧を処理(降圧)することも出来るのかもしれないですけど。
なので、この「噂」に対する回答は
- ベース車が「充電制御」のない古い車両なら、他のリチウムイオンバッテリーよりも電圧が低いlifepo4ならば充分に充電できる。(しかし昇圧した方が飲み込みはいいです)
- 充電制御車の場合は昇圧充電器があればできる。(ちなみに、充電状況を監視するためのホールセンサーを外し、充電制御を無効化する人もいるらしい)
- 「回生ブレーキ」を備えてるかどうか?も確認ポイント。装備してる場合は高電圧を発電してるか?降圧されていない場合は、降圧する機能も備えた充電器が必要。
て、ところだと思います。
リチウムイオンバッテリーは放電しながら充電できない?
これも嘘。できます。「いやいや、スマホで出来てるだろ?」と言いたい。
でも、名前は出しませんが国内で売られてる100万円以上する5kwバッテリーシステムのページには「リチウムイオン電池は充電と放電を同時に行うことができない」って書いてます。自社商品の優位性を訴えるために、「リチウムイオン電池は」と大きなくくりで「出来ない」と書いてます。「いやいや、スマホで出来てるだろ?」て、また言いたい。2回言いたい。出来なかったらそんなん不便すぎるだろw
「放電しながら充電」するのは「パススルー充電」と言います。BMSによってはこれが出来ない物もあるのかもね。
モバイルバッテリーなどは出来ない物もあったりしたので、それの影響か?とは思うんですが。。
逆にBMS買う時にいちいち「パススルー出来るか?」を確認しないと思うんですよね。「出来てあたりまえだろ?」と思います。
ちなみに,仮にBMSが入手できなかったとしても、BMS使わずにバッテリー端子に直接充放電ケーブルをそれぞれ繋げば出来ます(笑)
僕の使っているスマートBMSももちろんできます。
ソーラーパネル。100Wパネルで100W出力できた?
基本的に、出ません。
ソーラーパネルに記載の出力は設計出力です。パネルは光源に対して直角に向ければ一番発電します。しかし実際は光源(太陽)にパネルを常に直角にして光を受け続ける事なんて出来ないし、日照の入射角度の他にも
- 気温
- パネル温度(温度が上がると発電効率は下がる)
- 季節=宇宙からパネルに到達するまでに光が通る空気の層の厚さ
- ケーブルの長さ等の影響
などなど、いろんな影響を受けるので100%なんて出ないのです。赤道直下で直角に日照受ければ出るかもね。基本は60%~良くて80%程度で考えるべきです。
たまに100Wのパネルで100W出た!なんて事がどっかに書かれてたりしますが、それはもともと100Wより少し大きいパネル(120Wとか)を100Wとして売っているのです。出力足りないと不満が出ますが、多い分には良いわけですし。
そうやって売れば他で売られている「本当の100Wパネル」と比較して「〇〇社のパネルは他と比べてきっちり出力する」という評価になり、結果として高評価なブランドになる事もありえます。売り方のテクニックの問題なのです。しかしこれも「公正」とは言えないなぁ。。と思ってしまう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。僕はキャンピングカー歴はまだ1年のぺーぺーですが、間違ってるもんは間違ってると思いますので正しました。
いつか、アイソレーターをDC-DCチャージャーと呼ぶことが普通になり、キャンカーのリチウムイオン充電に対する間違った知識が正され、ソーラーパネルを買った時に「100Wなのに100W出ない!」なんてクレームが減るようになるのを祈るばかりです(笑)
最後に宣伝!ネットショップ始めました。BLUE SKY CAMPER PROJECT
もともとネットショップは運営していて、ここ1年ほどじはお休みしていました。
それからキャンカーを購入して約1年。
「車に住めるようにする」という目線から色々いじってきました。そこで感じたのは、キャンピングカー用も含めて、リチウムイオンバッテリー・ソーラー関連においては欧米はもちろん、中国にも日本は到底かなわないと思います。生産量・流通量ともに。中国は山間部でオフグリッドが盛んなので市場が進化してるなんて説も聞きました。
自分もリチウムイオンのシステムを組んでみて思いましたが、機材が安くなってきた事もあって「オフグリッド」は昔に比べるとだいぶハードルが下がってきていると感じています。
ですので、そんな「未体験なオフグリット」をDIYで実現できるような品物を紹介して、身近に感じてもらえたら… という思いで、リニューアルオープンしたのが BLUE SKY CAMPER PROJECTというお店です。
といってもしばらくは基本的に無在庫運営ですし、連絡もメールだけ。趣味に毛が生えたようなお店ですが、ヤフオクで売ると約10%もの手数料を取られるので、その無駄を省いて安くできるショップという形にしました。ヤフオクにも出しますけどね。メールサポート・アフターケアはご満足頂けるよう努めたいと思っていますので、是非一度覗いでくださったら嬉しいです。宣伝終わり!
いつの間にかネットショップをはじめましたね。
設置工事も請けると需要は高まりそうですよ。
うなぎさん!
コメントありがとうございます。
ショップはもともとドローンとか売ってたんですが、仕組みが変わってしまって休業してたのを再開してみました。
設置はいろいろやって、色んなキャンカーを見てみたいですね。
メールでご相談頂ければ、できる範囲ならお受けするようにしてます。