17年落ちバンテックZILへのリチウムイオン(lifepo4)取り付け
キャンピングカーへのリチウムイオン自作取り付け。
Youtubeで紹介するのはおそらく日本初かなーと思ってアップしたんですが、おかげ様で結構反響があって嬉しく思っています。元々、ものすごくマニアックなネタなのでバズってるとまではいきませんが(笑)、同じように「リチウムイオン付けたいなぁ」と思ってらっしゃる方には、このブログともども少しは参考にして頂いているようで。ありがとうございます。
そんな、Youtubeを観てくれた大阪の方から「自分のキャンピングカーにも同じのを取り付けてほしい」とご連絡頂きました。代金も頂けるようです。
お金頂く以上、いい加減な事は出来ません。
僕は本業は全く違います。素人です。また、リン酸鉄リチウムイオンは他のリチウムイオンよりは安全と言われているものの、リチウムイオンな事に変わりないので、万一出火・火災が起きても責任は負いかねる旨をお伝えしました。それでも「まわりのキャンピングカー屋さんはどこもやってくれない(そりゃそうだ…)のでお願いしたい」とのことでしたので、他の車も見てみたいと思っていましたし、依頼をお受けする事にしました。
結果から言うと取り付け自体は丸1日(14時間)で終了。既設の配線が一部無効化されていて、その謎解き・復帰にもう1日(8時間)、計22時間で完了しました。
こちらにアップしましたので合わせてご覧ください。ここではもう少し詳しく書きたいと思います。
車両は2003年式バンテック ZIL Cruise
車両情報です。
バンテックHPでいうところのこちらですね。
http://www.vantech.jp/lineup/history/ZiL99/ZiL99_home.htm
VANTECH ZIL Cruise 4WD CF(クラッチフリー)
ベース車両:いすゞ エルフ 2t
エンジン:4HG1 4570㏄ ディーゼル 133ps/32.5kgm
オルタネーター電圧:24V60A
駆動:5MT 4WD(クラッチフリー機構付き)リアダブルタイヤ
全長4965mm/全幅2110mm/全高2900mm(4WD)
車重:3.37t
バンテックのページ見て思ったんですが、中古で買った車両についてもユーザー登録を促しています。いわばオークションや個人売買で買った車両でも、ユーザー登録する事でその車両を使っている方への情報発信をしてるってことですよね。とても良い姿勢だなぁと思いました。
また、上に書いている通り24V車です。最初は12V車だと思っていて、そのつもりで機材を用意してもらっていたので24Vと聞いたときは面食らいました。
幸い、サブはACデルコの12V105Ahが1発=12V仕様とのことだったので、24Vをどっかで12Vにしてるだろ?とにらみ、そのまま進めました。
揃えたもの
システムは僕のと同じです。
- lifepo4バッテリー:CALB CA400 3.2V/400Ah×4個
- スマートBMS:SP04S005
バッテリーとBMSはオーナーさんの依頼で僕がアリババで代理購入しました。僕の時よりも送料が上がっていて、少し高かったです。到着まで約1か月半。早く正常化してほしいものです。
- 走行充電器:RENOGY DCC50S
- ソーラーパネル:RENOGY 175Wフレキシブル×3・100W×1枚 合計625W 4枚並列
- 60SQケーブル:赤黒約2mずつ
- バッテリーターミナル・スペーサーなど小物類
です。これらはオーナーさんが用意してくれてました。
ソーラーパネルは既に設置され、車内に4in1になったケーブルが引き込まれておりました。僕は充電器に繋いだだけ。ただ、ケーブル太さが4sqと書いていました。
625Wだと、並列なので18Vで34Ah。実際はそんな出ないけど、5.5sqに変えた方がいいですよ。とはお伝えしました。
そのほか、家庭用エアコンを使いたいとのことで、未来舎の2000W正弦波インバーターを用意されていました。うらやましい。。。
インバーターやエアコンも含めた機材総額はおそらく50万円近くですかね。すげー。ちなみに僕のバーストナーの初車検、50万でした(泣)
1日目 lifepo4の取り付け作業
バッテリーの設置場所をどうするか?
依頼を頂いた当初から、まずこれを気にしていました。
バッテリーだけで縦285×幅450×高さ280あって、
で、頂いた写真がこれ。
一番左のスペースにはACデルコが1個のみ。その上に配電盤があります。端子台とリレー、要所要所に管ヒューズ。整然と並んでいて綺麗ですが、当時のバンテックの手作り感満載です(笑)同年代の僕のバーストナーは、プリント基板で箱型でコンパクトなEBL99です。この辺、やはりヨーロッパ車の方が洗練されてると思いました。
計ってもらったら、タテヨコは入りそうでしたが、高さが足りない。バッテリー自体はギリギリ収まるが、ボルトやBMS等の機材が入るスペースが無い。
他にスペースあるか?も含めてバッテリー移設 か、この既存の枠の上に乗せる形で、タッパを上げるための枠を作るか?を提案したところ、立派な木枠を作成されていました。気合入ってますねぇ(笑)
↓木枠。既設の枠にピッタリです。後から接合して色塗るか、壁紙貼るかでOKでしょう。一番左にはバッテリーがピッタリ入ってます。
車内は空っぽ!
行ってわかったのですが、車内はオーナーさんが全部作り直す気でいるとのことで、空っぽになっていました。。
トルマのガスボイラーや冷蔵庫までも外されていました。ガス補充が困難なので、ボイラーも冷蔵庫もバッテリー式にしたいそうです。コンロはカセットガス。
家庭用エアコン・ボイラー・冷蔵庫全てバッテリー駆動。まぁ一つずつならいけるでしょう。電気で湯沸かししながらエアコン使うのはキツイかもだけど。。走りながら湯沸かしして到着したらエアコンならOKかと。
でも…これじゃあバッテリー積んでも車に電気行ってるかわからんやん…
幸い、バッテリーチェッカー・水タンク量チェッカー・プッシュ式ブレーカーなどが付いたパネルはまだ残っています。これに通電させ、その先に伸びてい照明の配線等に通電するようになればOKという事にします。ブレーカー付きパネルを経由させて給電すれば安全に電装使えますもんね。
配電盤を外す
今回、配電盤は今までの(↓の写真の)一番左側から、一つ右側に移動させるつもりでした。
理由としてはBMSの電圧計測ケーブルの長さは変えたくなかったのでバッテリー近くへのBMS設置を優先させた事と、配電盤へのケーブルは何十本もあって、それがバッテリーの上でごちゃごちゃになるのを避けたかったからです。
なので、上の写真でいうところの一番左をバッテリーと充放電補器類のエリアとし、その右のエアコンの上に配電盤と考えていました。エアコンと配電盤の間には数センチの隙間があって断熱されるし、この配電盤にはそんなに大電力をつかう物は流れないので熱的にはそんなに気にしなくても大丈夫です。
配電盤に繋がるコネクターは全て、オーナーさんがA・B・C…と目印を付けて外してくれていました。助かる。しかし何本か配電盤に繋がっているケーブルがあったのでそれを外して取り外します。
24V→13.8V走行充電器(ダウンコンバーター) DC-2440SH
思った通り。24Vを13.8Vに降圧する走行充電器が付いてました。
未来舎のDC-2440SH です。今の機材で言うとDC-241240Bですね。
これ、とても重要な機材です。降圧した電気をRENOGY充電器のALT(オルタネーター)入力に入れます。
仕様を見ると出力13.8V/最大40Ahと書いてあるので、電圧は少し低めですが使えない事は無いと考えそのまま使います。
これも一度外します。
見えているリレーはキーと連動させるための物です。ACC線が来ています。キーがACCになるとリレーに通電して、24V入力ラインが繋がり、こいつが動きます。簡単。
バッテリーエリアが出来たので、入れてみます。
バッテリーを設置。熱対策をしてみた
空っぽになった一番左のエリアにバッテリーを入れてみました。
元からある枠が、まさにこのバッテリーを入れるために作られたかのようなフィット感です。
高さは新しい木枠で解決済み。あとは、写真でいうところの横方向の押さえをどうするか?です。ちょっと隙間があるんです。
プラスに考えます。せっかく隙間があるのだから、熱対策的には有利です。
そこで、ホームセンターでこういうアルミのH金具を買ってきて、バッテリーの高さ280㎜より短い250㎜にカットし、バッテリーセルの間に3本ずつ挟みました。
アルミ自体がヒートシンクになってバッテリーの熱を逃がすとともに、隙間が出来るのでエアフローを確保できます。ファンで風送ってあげれば更に冷却が期待できるでしょう。
僕のもケースを少し大きく作り直してこうしようかな。。絶対この方がいいよなぁ。。うらやましい(笑)
で、それでも少し隙間が空いたので、そこは木を4本。クサビのように噛ませて固定しました。これでもちょっとやそっとじゃ動きませんが、ジャッキ的な物で固定したら更に良いかもしれません。もしくはラッシングベルト、L字金具などですね。
各機器の配線
前の記事でも書きましたが、配線についてはあまり詳しく書きません。
わかる方には簡単なはずですし、BMSやRENOGYのマニュアルを見てイメージできない方は自作はやらないほうが良いと思います。
充電経路は車両の24V→ダウンコンバーター→RENOGY充電器→BMS→バッテリーという接続になります。
ソーラーはRENOGYに直接。あと、外部充電用の100V→12V充電器も見えにくいところに付いてたのを発見したのでそれも接続。
バッテリーからの出力は車両の配電盤に繋がる+-と、インバーターへの+-のみ。シンプル。
インバーターへの配線は家庭用エアコンやボイラーを使いたいというご要望を伺っていたので60SQを使いました。ぶっといですねぇ。
1日目終了 走行充電出来ない
ここまでで、途中の買い出し等も含めて14時間。昼13時~翌AM3時くらいまでやってました。僕が取り付けるべきものは全て完了です。
全部繋いでエンジン掛けてみると‥走行充電が動かない。。テスター当ててみると24Vが来ていない。24Vは車両の床下から伸びてきている。
これは明日です。。。
2日目 走行充電と既設配電盤の謎解き…
2日目。12時過ぎ作業開始。
僕の取り付けるべき機材は昨日で全部付けたので、本来の僕の任務は既に完了しています。
あとはこの車の問題ですが… これで帰っちゃ薄情すぎるw 自分的にも気がかりなので、車両の既存のプッシュ式ブレーカーなどが付いたパネルに通電し、その先の照明などの配線に通電出来たら任務完了とします。
走行充電を復活させる
まずは走行充電の謎解きです。24Vが来ていません。その24Vラインは床下から来ています。
ということは、バッテリーから外れてるんだろ?と睨んで見てみたらビンゴ。キャビンへの24V線が無効化されてました。繋ぎなおすと無事に走行充電し始めました。
予想してましたがダウンコンバーターの出力電圧が13.8Vと少し低めなので、充電電力量は160W~180W程度と、僕のよりも若干少なめでした。
でも充電中でもセル電圧差が5mvってすごいな。
後からオーナーさんに聞いたのですが、前のオーナーはポータブル電源で設備を動かしていたそうです。
外部100Vを繋げばコンセントは使えたし照明も点いたと。ということは、おそらく100Vからポータブル電源を充電していたのでしょう。
ヘタった鉛のACデルコには見切りをつけ、走行充電もしていなかった。だからバッテリーからの24Vラインを無効化していたんだと思います。
ヘタったACデルコの電圧は僅か8Vでしたが、100V繋いだ時は100V→12Vの外部充電器が働きます。一時的に電圧が上がるので照明も点いたんだと思います。
既設の車両配線への電源供給
既設のスイッチパネルに電気が来ていません。配電盤には通電していますが、一部通電していません。
次はこの謎解きです。キモはこのリレーでした。
このリレーが司る先の配線に電気が行っていない。冷蔵庫以外は殆どがこのリレーを経由しています。容量は30Ah。こんなもんでしょう。で、このリレーの制御側の配線を辿ると…やはり配線が切断されていて無効化されてました。
なのでメインスイッチのケーブルを新設。そのスイッチでリレーを動かし、その先の照明等の電装品を全て使えるようにしました。
メインスイッチをオンにして、照明ラインにテスター当てると… 無事に通電。
こうやって終わってから書くと大したことなさそうですが、全部外された状態からの謎解きなので、とても時間かかりました。
ともあれ、任務完了!!です。よかったよかった。
テスト
前後しますが、1日目、インバーター設置が完了したタイミングで、テストを行いました。
テスト前に僕のBMSの設定値をオーナーさんの車にコピーしました。ここは車によっても多少の微調整が必要になります。
まずはスイッチ入れて通電を確認し、いきなりの高負荷テストw
エアコンから30mくらいの延長コードを使ってオーナーさんの事務所つある100V家庭用エアコンに接続しテストしました。
冷房最低16℃/風量MAXで普通に動きました。消費電力500~600W程度。その状態で40分ほど買い物に出て戻って来ましたが、依然稼働中。BMS、バッテリーの温度上昇は1~2℃程度でした。30mも延長してたのにすごいです。
60SQの太い配線と、優秀な未来舎インバーターの恩恵でしょう。
動画撮ってなかったのが残念です。今度、連続稼働テストして送ってくれるそうなので届いたらご紹介します。
また、撤収した翌日にオーナーさんがソーラーの発電量を報告してくれました。
前日46%だったのが1日で91%になっていました。ソーラーで1日45%充電!すげー。
まとめ
作業時間
1日目 14時間 機材設置はほぼ完了
2日目 8時間 ソーラー配線接続(15分)、あとは謎解きとスイッチ設置。えらい時間かかりました。
雑感
バッテリーシステムは完成したものの、車自体は空っぽなため、完成した感じがなかったです(笑)
オーナーさんはこれからも電装・内装を作って行かれます。家庭用エアコンに加えて冷蔵庫やボイラーも電化するようです。エアコンとボイラー・エアコンとレンジなどの同時使用はおそらく厳しいでしょう。TVとか照明はいくらでも大丈夫ですが、電気食う機材は単体使用になると思います。
しかし625Wソーラーで1日45%も充電出来ればいけるかもしれません。これは僕も分からないので興味あります。完成したら是非一度、撮影・紹介させてもらいに行ってきます。
オーナーさんはエアコン動いた時が一番嬉しそうでした。自分の知識や経験が人の役に立って喜んでもらえるのは嬉しいもんです。
まだ作成中の車なので、取り付け終わってからも色々話してます。
ともあれ、ご依頼ありがとうございましたm(_ _)m
「自分のにも付けたい!」という方ご連絡ください。sin.okazaki@gmail.com
おはようございます。
私は整備の仕事をしていて電気屋さんから聞きながら多少電気の修理をしてましたのでロデオにソーラーとか走行充電の変更とかやってますが全然私のやってる事よりレベルが高くて分からないなりに読ませて頂きました。
今後、オーナーさんが色々と付けられて動作されるのを楽しみです。
今後とも宜しくお願いします。
コメントありがとうございます。
いえいえ。整備の方が難しいですよ。
謎解きにすごい時間かけちゃいましたし笑
ロデオいいですね。リチウムにされる際は是非!
コースター(メインバッテリー24v)に12vサブバッテリーを組みたくて、
非常に興味深く読ませていただきました。
走行充電が160W~180W程度ということで、
もう少し欲しいなと思うのですが、
例えば走行充電器にCTEK(D250SE+SMARTPASS120S)を使用することで、
もっと効率よく走行充電を行える…とか、そう単純な話ではないのでしょうか。
それとも、ダウンコンバーターの性能に依存するのでしょうか。
ただ、ソーラーパネル625Wの威力はなかなかのものですね^^
コメントありがとうございます。
今となっては懐かしいですこの車。。(笑)
確か24V→12V25Aくらいの充電器だったと思いますが、そこまでも出ていないですね。
この後も何台も取付させてもらって感じるのは、やはりメインからのケーブルが太いことがまず必須かなーと思います。
昔の車だと鉛ツインでも20-30Aの充電しか想定していないのでケーブルも5.5とか8sqとかで細いです。
CTEKは24V車には使えないですよね。
DCDCコンバーターで落としてからという意味であれば出来ると思います。
どうせなら太いケーブル使って1000WくらいのDCDC入れたほうが良いのではないか?とか思ってます。
やったことないですが(笑)
24vバッテリー→DCDCコンバーター→CTEK→サブバッテリーという流れですね。
CTEKではケーブルの推奨は38sqのようですので、
メインバッテーからDCDCまで、DCDCからCTEKまで、CTEKからサブバッテリーまでを38sqで接続、
そして最大出力電流120A(Max)(継続出力電流100A)あたりのDCDCコンバーターを使用すれば
もっと走行充電で効率よく充電できるような感じですかね。(理論上は^^;)