蒼天航路 〜ドローンと空撮とキャンピングカーのブログ〜

Drone Aerial Shoot ドローン空撮屋のブログです。その他にも、キャンピングカー、空モノを中心としたラジコン関連の雑感なども書いていきます。

MicroDrone 装備

マイクロドローンもスタート。SPCMAKER K19 買ったよ

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マイクロドローンもやってみよう。マイクロドローンといわれるジャンル。

マイクロドローンってありますよね。どこからが「マイクロ」か?は厳密に定義はないものの、日本では航空法の縛りを受けない200g未満(199g以下)の「U199」(Uはアンダーの意)の機体がまず「マイクロ」と言えるのかな?と。

U199 機体を使った映像分野に関しては、日本だと以前も紹介した「オンナノコズ」から始まり、近畿大学のプロモーション映像なんかも撮影されている増田さんという方が先駆者かと思います。

一方、空撮映像以外のレースの世界だと「TinyWhoop」っていう一大勢力(?)がありまして、世界的に流行ってますね。

「TinyWhoop」の公式(?)ページはこちら。

「TinyWhoop」ってのはもともとアメリカに「BIG Whoop」というドローンレーシングチームがあり、そこの人たちがホイールベース(ドローンの場合はプロペラの対角線長)55mm~75mmくらいの小さなドローンにFPVカメラ積んで室内レースをやってみたら楽しくて、「TinyWhoop」という別ジャンルが成立したって感じだと思います。

公式ページで機体も売ってはいますが、何もここで売られて売るものだけが「TinyWhoop」というわけでもなく、バングッド等でも同サイズの機体は沢山売られていて、自作も出来ることから事実上「TinyWoop」は「ジャンルの名前」という感じであり、機体についても厳密に「ホイールベース何ミリまで。重量何グラム以下」と決まっているわけでもないです。

大体「ホイールベース55~75㎜以下、バッテリー1セルで、重量20~30g以下くらいでFPVカメラが機体の真ん中に搭載されている機体」の、こんな感じのやつが代表的な「TinyWhoop」な気がします。

筆者はレースに出たことないのでわからないですが、おそらく、レースのレギュレーションとしてはホイールベース、サイズ、重量、モーター、バッテリーなど、いろいろ決まっているのかも。で、それ向けの各種パーツ(フレーム、モーター、FC、ESC、バッテリー等)が売られていて、自作もカスタマイズも可能。というモノです。筆者の世代(40代前半w)から見ると、ミニ四駆とか、タムテックのドローン版って感じに見えますね。

手のひらに乗るくらいの小さな機体が股の間をくぐったり、テーブルや椅子の下をくぐったり。DJIのドローンが「鳥目線」なら、マイクロドローンは「虫目線」の飛行と、その小ささからくる新しい映像表現も可能なことから注目されています。

少し前からですが、筆者も始めてるので、これからはマイクロについても書いていきたいと思います。マイクロドローン最初の記事なので長くなっちまう。。

DJI機とレーシング機(マイクロ含む)の違い

日本で「空撮機」と言えばDJIの機体がほとんどだと思います。それに対しマイクロドローンを含むこれらはジャンルとしては「レーシング機」または「ホビー機」となります。ここでは以後「レーシング機」と書きます。それぞれの違いについて。

安定性の違い

一言でいうと「安定性」がまったく違います。

空撮を主目的とするDJI機はその用途からも絶対に落ちてはいけない。機体にはGPS、気圧、ビジョンポジショニングなど、何重ものセンサーが付いていて、やばいと思ったらスティックから手を離せば勝手にその場でホバリング。機体が揺れても常にカメラを水平に保つジンバルも装備。電波がロストしても自動で元のルートを辿って戻ってくる。この「安定性」のお陰でパイロットはある程度安心して撮影だけに集中することが出来ます。

これに対してレーシング機は「単なるラジコン」です。厳密にはフライトコントローラー(FC)によって、最低限の安定性は確保されているものの、ホバリングするにしても細かな4chスティック操作が必要。手を離そうものならあっとゆー間に落ちます。ジンバルも無いので、機体の傾きがそのまま映像の傾きになります。しかし、それがDJI機には出来ないダイナミックな映像になります。

この「DJI機には撮れないダイナミックさ」がレーシング機の最大の魅力だし、僕にとって手に入れたいものの一つでした。それに加え、U199機は航空法の縛りを受けない。この点も大きな魅力でした。ただし、下に書くように電波法の縛りは受けるんですけどね。。

電波の違い。日本の電波はガラパゴス。ドローン後進国。

DJI機との大きな違い。もう一つは電波が違います。

DJI機は内蔵したGPSにより現在地を判別し、日本国内では免許不要(技適取得済み)の2.4GHzで映像伝送しています。

これに対し、海外製のドローンの多く(というかほぼ全て)は5.8GHz帯の電波で映像伝送を行っています。しかし、日本ではこの帯域を使うドローンを飛ばすためには4級アマチュア無線技士の資格と開局申請が必要です。厳密に言えばこの手の機体を申請せずに電源入れた時点でこの帯域の電波を自動で発するために違法になる。まずこれがハードル上げてます。とっつきにくい。

4アマ取得と開局申請・免許取得で、晴れて野外でFPV飛行ができるようになります。

しかし、ここまでしても、4級アマチュア無線技士の資格では「業務での使用」は出来ません。以前書いたこの記事にもありますが、業務空撮するためには「3級陸上特殊無線技士」以上の資格が必要であり、さらに送受信の機材として総務省が業務用に定めた5.7GHz帯の電波を使う機材が必要です。

この5.7GHzってのが曲者なんです。そもそも海外製ドローンはそんな日本の法律に合わせてもいないので、5.8GHzのものばかり。日本に合わせた5.7GHz仕様の機材なんてのは世界的には全く需要のない(必要もない)激レア機材なんです。てか無ぇよ。そんなもん。海外で必要ねーしってなもんです。

そして、日本で定めた5.7GHz帯を使う、業務にも使える機材ってのはこれだけです。これはマイクロFPV用。こちらから出ているいくつかの製品群のみ。

マイクロ機用で税込み16万。は?って感じ。マイクロ用でですよ? ほとんどは趣味での飛行・空撮でしょうから業務使用の需要は少ない。需要と供給の観点からすれば価格が上がるのは仕方ない。開発費もかかってるでしょうし、この業者さんを悪く言うつもりもないですが、こんな原価いくらにもならないような機材を16万で売れてしまうシステムにしているこの国にはF〇ck凸です。たぶん、現状、1社独占ではないでしょうか。競争が発生していないです。

さらに、これを導入しても「運用調整」とやらが必要ですって!「運用調整」を牛耳っているのは2016年7月設立の一般社団法人JUTMですって。運用調整してもらうには加入しないといけないんですって! なに?この団体。既に国に入り込んでるじゃん。なんで5.7GHz帯で業務空撮しようと思ったらここの会員になって「調整」受けにゃならんの?なんの権利で人の行為を「調整」するって言ってるの?意味わからんです。

他国は5.8GHzを使えるし、5.8GHzの機材が大量に出て使用してるのに、日本はまずドローンの周波数帯域がガラパゴス化している。

そのため、DJI以外の機体は殆ど入ってこない。DJI以外のメーカーからもDJIより安く、性能面で匹敵するような機体は出ているのに、製造メーカーはガラパゴス日本で技適取ったりの手間と費用と、それに対する売り上げを天秤にかけて日本市場は相手にしない。自国と欧米で売れりゃいいから。日本も相手するのはDJIくらい。世界シェア1位だから=日本人も買うから。Appleみたいなもんですわ。あとはトイドローン。

DJI以外入ってこないので、殆どの人がそれ以外見向きもしないし、「これいいやん!」て機体を個人輸入で購入したとしても技適やら資格やら開局手続きやらで使いにくく、使用のハードルを上げている。国産でDJIに匹敵するようなドローンが出るわけでもなく、しまいには16万の機材売るビジネスが成り立つ。しかも運用調整が必要って。利権の香りがプンプンします。

なんで日本ってこういうことになってしまうのでしょう?僕が2年前にこの記事で書いた通りになってます。

そのうち、どちらかの団体がさらに金を貯めて力をつけた時、官僚や政治家と結びついて、JASRACやB-CASのように、自分たちの都合のいいように(儲かるように、天下り先が確保できるように)ドローンを免許化、制度化、法制化してしまうという、昔からの「非常に日本らしい」結末が狙いなのではないかと。

結果として、ドローン使用のハードルが上がり、海外に比べるとどんどんドローンで遅れていく。これが「ガラパゴス日本」「ドローン後進国」という所以です。

現状、5.8GHzを使用するマイクロ含むドローンは 「趣味なら4アマでやれ」「業務で使うなら16万払え」「運用調整しろ」ってのがこの国です(-_-;)

オンナノコズを撮ったマイクロドローン

ま、DJI機ではお仕事もさせて頂いているものの、マイクロは今のところ趣味なので、今のところJUTMはほっときます。

とはいえ、筆者はどちらかというとレースよりも映像目当てなので、まずオンナノコズの映像を撮ったドローンを当然チェックするわけです。

こちらです。Vespa80 という機体。受注生産で、筆者が問い合わせた時は納品2か月待ちとのことでした。

ではパーツだけ揃えて自作できないかな?と思い電話で問い合わせたところ「パーツだけ集めて自作してもまともに飛びませんよ?」という高飛車ともとれる答えが返ってきましたw(お店の方、見てたらスミマセン) 完成機のVespa80は物理的なカメラの制振対策もさることながら、機体のソフトウェア的なセッティング(PID)も煮詰めて施してあるうえ、プロポ側のセッティングまで教えてくれる?そうで。

この「高飛車」発言は「オンナノコズを撮ったマイクロ空撮機」としての自信と誇りが込められているのだと思います。「そんな一朝一夕ではマネできねーよ」と。

ラジコン屋のオヤジや、RCサークルの年長者のおっちゃんによくいるタイプなので、喧嘩しても何の得もないです。こちらはあえて下手に出ます(笑)しかし、2か月は待てないので今回は除外しました。

僕は除外しましたが、この機体が撮ったという映像を見れば、それだけのポテンシャルを持つ機体であることは納得です。機体だけあっても腕がなけりゃ誰にでも撮れるものでもないですが、煮詰められたセッティングがある分「近道」ではあるのかもしれません。

SPC Maker K19 購入

しかし、そんなVespa80も所詮はラジコン。組み立てからセッティング出しから自分でやってなんぼだろ?と思い、最初は自作も考えたのですが、ラジコンや自作PCと同じで、既にあるパーツを組み合わせて取り付けるだけ(ハンダ付の配線は必要だが)なので、「組み立て自体は大した勉強にもならない」と都合よく考え、完成機の購入としました。

Vespa80 と似たようなパーツ構成の機体は沢山あります。いろいろと吟味して、SPCMaker の K19 という機体を購入しました。価格も半額以下だしね。

ペラガードがあるからか?形も似てますよねw ダブルデッキのカーボンフレームと、タワー型に重ねられたFC、ESC、VTX等の機材たち。カメラもVespa 80 と同じ Runcam Split mini 2 です。カメラの防振対策はVespa80のほうが優れているのでしょう。たぶん。

今見たら、Vespaシリーズ販売してるEP ModelsさんもSPCMaker の機体扱ってるなぁ。ベースはこれなのかな?w

SPC Maker K19の仕様

搭載している機械的なスペックはVespa80 とほぼ同一ですが、少し大きく少し重いですね。

ホイールベース:90mm
サイズ:110*130*30m
重量: 93g (バッテリー除く)バッテリーは約50gなので全備約150g
モーター: ブラシレス 1105 6000KV
FC: Omnibus F4SD
ESC: 20A Mini 4 in 1 BLheli_s ESC (2-4s LiPo)
FCファームウェア: betaflight_3.5.1
ペラサイズ:5枚羽 1.8 インチ(約45㎜)
カメラ : RunCam Split Mini 2 (1080p 60fps撮影)
VTX: 5.8GHz, 25mw-200mw, 40CH
フレーム: 3K カーボンファイバー 3mm
受信機: Futaba 対応。SF800mini SBUS

バッテリーは3セル350mAhのが2本付属してます。

他に必要なもの

プロポ、充電器、FPVゴーグルが要ります。あと日本で使う用の交換用VTXも。海外モデルは申請に必要な系統図が付いていないことが多いので、系統図が用意できるものに交換したりします。

これらについては次の記事で詳しく見るとして、とりあえず全部揃えました。

プロポ Futaba 16SZ

プロポだけはちょっと前に新調してましてFutaba 16SZです。プロポ買ったの20年ぶりでしたw

写真の右は20年以上前のプロポ。まだ現役。フタバFF8。Frskyとか、いろいろ検討したのですが、技適とか考えるのが面倒なので双葉にしました。コスパは海外製品と比べると圧倒的に悪いです。

FPVゴーグル Eachine EV800D

Eacihne EV800D です。レンズ外せて外部モニターにもなるので、とりあえずこれに。しかし入力はHDMIじゃなかった。。泣

ちなみに、5.8GHzを受信する側は申請は不要です。送信側のみ必要。

充電器

いつの時代も充電器は高いものです。仕方なくこいつ を買いました。6セルまで対応。AC/DC両対応。2個同時充電可能。並列充電ボードを使うことで4個とか6個とか同時充電も可能です。車のサブバッテリーから充電します。DC入力もいけるのですが、XT60のケーブル作ったりが面倒なのでインバーターからのAC100Vで充電してます。効率悪い。無駄ww でもこの程度のバッテリーなら無限に充電できますわ。

ほか、バッテリーは350mAhのものが付いていますが、600mAhのも4つ買ってみました。重さにして約20g違います。

あとVTXを日本での開局申請に必要な系統図付きのものに交換。申請してOK。申請方法は他でググってください。

僕はこの同じものをいくつかストックしてます。

SPC Maker K19 初飛行

飛行モード

マイクロ機に限らず、BetaFlightをファームウェアとするレーシングドローンの飛行モードは3つあります。

プロポのスイッチで飛行中でも切り替え可能。

ANGLEモード

DJI機のATTIモードと同じと考えてOK。ただし、スロットルは落ちないように自分でコントロールする必要あり。それ以外の3舵は、ジャイロの水平制御によって、スティックを倒せばその方向に傾いて機体は動き、戻せば傾きも戻る(止まる)。機体の最大傾斜角は設定可能。最大傾斜角があるということは、ループ(宙返り)やロール(横転)は不可能という事。

ACROモード

レーシングドローンならではのモード。ジャイロによる水平制御がオフ。スティックを倒して傾いたら、スティックを戻しても傾きは戻らない。常に当て舵が必要となるモード。イメージ的にはRC飛行機の操縦に近いかも。 最大傾斜角の縛りもないので、ループやロールなどアクロ系の飛行が可能となり、自由に飛ばすことができる反面、スピードコントロールや姿勢制御は全てマニュアル。DJIの機体を飛ばせるというレベルでは間違いなく墜落。ANGLEモードとは全く違うため、頭の切り替えが必要。シミュレーターでの練習必須。

HORIZONモード

ANGLEとACROの中間。スティックを離せばANGLEモードと同じく安定するが、スティックを倒している(操作している)うちは機体の傾斜角制限が解除される。危なくなったらスティック話せば水平になるけど、この特性(?)を使うための頭の切り替えも難しく、筆者の課題w

SPC Maker K19 飛行動画

とりあえず箱出し、プロポのエクスポ設定で初動を鈍くしただけの状態で野外初飛行の様子。ヘタですみません。

モードはANGLEです。飛行時間は600mAhで4分てところです。

アングルモードなら、スロットルだけ気にしてればDJI機とほとんど同じ感覚です。

とりあえず、今日はここまで!

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名前 : 岡崎 慎一

5歳でトイラジに出会い、それ以来ブランクはあれどずっとラジコン好き。
とあるアーティストのMV撮影でDJI INSPIREでの撮影を目の当たりにしてドローン空撮を志す。現在はそのMV撮影時に飛ばしていた人に師事。

ドローンの他、登山とマラソンとロードバイクと天体撮影とラジコンと音楽とデリカスペースギアとPCとカレーが好き。 これら全部を活かして、旅をしながら稼げるバックパッカーとなり世界一周に憧れてます!
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