ドローン関連の資格・認証をまとめてみました。
国家資格
国が認める資格です。資格を証明する書類(免許証など)は身分証明書にもなります。
第4級アマチュア無線技士
5.8GHz帯を使用して映像伝送する機材を使用する場合に必要な資格です。
日本では5.8GHz帯はアマチュア無線用途として確保されているため、この周波数の通信を行う際には必要になります。
日本での使用を想定していない海外機材を使う場合は必要になる事が多いと思います。Phantom4の場合は、海外使用は2.4GHz帯と5.8GHz帯をハイブリッドで使うようになっているのに対し、日本仕様は2.4GHzのみで通信していますので、この資格は要りません。
また、その名の通り専ら「アマチュア用途」に限定されていますので、業務での使用は出来ません。
第3級陸上特殊無線技士
この記事に書いた通り、2016年8月より総務省で新たに確保した周波数帯を使用する機材を使用する場合に必要です。
業務での使用が可能です。難易度的には4アマの方が難しいという話もあります。
民間資格
民間の企業・団体が独自にドローンに関する知識・技能を持っていると認めて発行するものです。
個人的には「資格」というよりも「認証」と言った方がいいと思います。
ドローン検定
ドローン検定株式会社が主催する認定資格です。
4級~1級まであります。
試験は筆記のみです。よって、ドローンに関する知識の証明にはなりますが、技能を証明するものにはなりえないと思います。
ドローン検定のHPにある、飛行していいかどうか?のフローチャート、わかりやすくて気に入りました(笑)
DJI CAMP
ドローンで世界シェア7割を誇るDJIが主催する認定資格。
DJIスペシャリスト、DJIインストラクター、DJIマスター の3つに分かれています。
一番下のクラスの「スペシャリスト」からして、「企業内でパイロット、および改正航空法下で業務を行う方」となっているため、個人向けというよりは企業向けの認定資格だと思います。
個人的にはここに挙げた「認定資格」と呼ばれるものの中では一番実務的だと思います。
ただし、HPに書いている「スペシャリスト」の操縦技能テストの内容見てちょっとがっかり。
これで「スペシャリスト」って。。?
大の大人が2日間講習を受けて65000円也。
DPA技能認定
DPA 一般社団法人ドローン操縦士協会が主催する認定資格です。
取得するためにはDPAが認定するスクールの受講が必須となります。
JUIDA操縦技能照明・安全運航管理者証明
JUIDA 一般社団法人日本UAS産業振興協議会 が主催する認定資格。
取得にはDPA同様、JUIDAが認定するスクールの受講が必須です。
個人的雑感
ここからは個人的な感想です。
多少Disった書き方になっているかもしれません。不快な方は読み飛ばしてください。
ここ数年の間のドローンの進化はすさまじく、まさに秒進分歩と言えると思います。
一方で、簡単に飛ばせるようになった事で、落としたら大変な事になる空モノの怖さを知らないで飛ばして落とした一部のバカに端を発し、ドローンに対して厳しい視線が向けられる事も多くなりました。
これまでの趣味とは違い、本格的に業務にも使えるようになってきた以上、ある程度の規制を設け、操縦者の知識と技能を客観的に評価する仕組みは必要と思います。
そこに出てきた様々な団体と、その団体の認定資格。
特にDPAとJUIDA。
両団体とも、正しい知識と技能を啓蒙し普及させるという理念は立派ですが、どうも今後発展するであろうドローン業界において甘い汁(利権)を求めて活動している団体に見えてしまう。
理由1
まず、両団体とも認定資格取得のためにはスクールの受講が必要となっています。
その学費もスクールにより様々ですが、4日間で数十万円などという金額がかかる所も。。
昔からラジコンやってる人からすると、「はぁ??」て感じる人が大半ではないでしょうか?
DJI CAMPはスペシャリストの受講で2日間で65,000円ほど。こちらは個人的にはまだ適正に感じます。
さらに、なぜ、車の一発免許のような、誰でも受験できる制度がないのか?も疑問が残ります。
そうしないと儲からな・・・ ゴホッ ゴホッ!
理由2
そのスクールの宣伝文句として、「ドローンの免許を取るなら!」という内容で、受講生を集めている。
以前も書いた通り、現状、ドローンの操縦には免許は不要です。
ただし、
- 5.8GHz帯の電波を使って映像伝送などの通信をするためには4級アマチュア無線技士以上の免許が必要
- 昨年8月に総務省が新たに確保・整備した周波数帯を使う機材を使用するには第3級陸上特殊無線技士以上の免許が必要
ですが、これは別の国家資格であり「認定スクール」を受講しなくても取れる資格です。
それを、さもドローンの操縦には免許が必要とも受け取れる書き方で生徒を集めている。
この点が、考えようによっては詐欺に近いと思います。
何度も書きますが、ドローンの操縦にはそんな免許要りません。
理由3
両団体とも個人、法人とも会員制。会費制となっており、個人からも会費徴収。法人会費は年間数百万円以上。
全て「金のため」にしか見えないのです。
スクールをやって儲けるための認定資格と言ってもいいでしょう。
今後更に発展するであろうドローン業界のために、正しい知識と操縦技能を啓蒙し普及されるという趣旨は立派ですが、かたや、いかにも免許が必要な風に宣伝し、受講させ、会費を取って金を集める。
今はこの段階。
そのうち、どちらかの団体がさらに金を貯めて力をつけた時、官僚や政治家と結びついて、JASRACやB-CASのように、自分たちの都合のいいように(儲かるように、天下り先が確保できるように)ドローンを免許化、制度化、法制化してしまうという、昔からの「非常に日本らしい」結末が狙いなのではないかと。
妄想でしょうか?
だいたい、ドローンに関する知識は別として、操縦の技能は4日間とか、そんな短い期間で身につくものでは決してありません。
DJIキャンプの技能テストの内容くらいが関の山。到底業務で使えるものではありません。
それで(本来、飛ばすのには不要な)「認定資格」を与える。それも危険だと思います。
筆者の師匠は、ドローンが世に出る前からモーターパラグライダーやRCヘリで空撮業務を行い、エベレストの登山隊に同行したり、NHK-BSのゴールデンタイムで放送された自然番組の空撮を担当するベテランですが、4アマ無線しか持っていません。
しかし、ドローンについて何も知らないクライアントさんからすると、無資格でバリバリ活躍しているベテランさんと、紙の資格は持っているけど下手な人がいた時に、後者の方が良いと判断する事もあるでしょう。
これでは本末転倒ではないでしょうか。
クライアントさんも
「資格を持っているからといって必ずしも上手い人ばかりではない」
事を認識しておくべきだと思います。
昔は空モノのラジコンは、高価だしGPSもジャイロも積んでいないので操縦も難しく、RC飛行機クラブなどに入って、操縦技術を身につけました。
可燃性の燃料を積んでエンジンを回し、重さもドローンの比ではない、数kgの物体を100km以上のスピードで飛ばしていたわけです。
僕も最初「RC飛行機はミサイルと同じだから」と教わりましたし、送電線や建物から200m以上離れた場所を目安に、飛ばせる場所を探しました。
それが、技術の進歩で誰でも簡単に飛ばせるようになり、そこに湧いた一部のバカがきっかけで規制が敷かれ、そこに生まれる利権を求めて、本来は不要な資格を必要ともとれるキャッチコピーで売るスクール。
その資格だけを根拠に(修行中の自分も含め)未熟な操縦者に発注してしまうクライアント。
先に書いた通り、ドローンの正しい知識と技能を啓蒙、普及させるのは結構ですが、どうか今後のためにも門戸は広くしておいてほしいし、金のためではない、正当で客観的な評価の仕組みを作ってほしいと思います。
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[…] この辺の事はこちらの記事にも書いたので読んでみてください。 […]